今話題!?天敵昆虫が農業の救世主になるのか
天敵昆虫って知ってますか?
以前に、農作物に被害をあたえる病害虫対策についてご紹介させていただきました。
今回は、そんな害虫たちからどのように農作物を守っていけばいいのかを探るべく、最近注目を集めている「天敵昆虫」という存在について調べてみました。
1:病害虫対策の分類
皆さんは、もしも自作の野菜に害虫が発生したらどのように対処しますか?
おそらく大半の人が思い浮かべるのが、「農薬」を使用して虫を殺してしまうことではないでしょうか。
それも正解です。
例えば、農薬を使用した対策を専門的に言うと
「化学的防除」と呼びます。
その名の通り、人間が科学的に作り出した農薬を使用する方法です。
では、その他にどんなものがあるのでしょうか?
① 物理的防除 「マルチ、防虫網、ハエ取り紙(捕虫紙)、ガムテープで捕虫、光り物(反射を活かしたCDやテープ等)」
② 化学的防除 「化学農薬」
③ 生物的防除 「コンパニオンプラント、完熟堆肥、天敵昆虫、微生物を使用した物」
④ 耕種的防除 「輪作、接ぎ木、適期敵作」
大きく分けると、この4種類が挙げられます。
例えば、畝に沿って白い不織布でトンネルが張られていたり、棒の先に釣り糸に繋がれたキラキラ光るCDは「物理的防除」の中に含まれます。
2:最近話題!?天敵昆虫とは?
4種類の病害虫対策があることは先述の通りですが、
今回は、③生物的防除の「天敵昆虫」にトピックを当てていきたいと思います。
農業をしていると、今まで気にならなかった虫たちが、どのように自然に作用し生きているのかを目の当たりにすることができます。
数多といる虫たちの中でも、大きくすみ分けは二種類あります。
・益虫:害虫を食べたり受粉を媒介して、人類に役立つ虫
→ テントウムシ、クモ、トンボ、ミツバチ、カイコ、ミミズなど
・害虫:人や家畜、農作物、財産などにとって有害な作用をもたらす虫
→ カメムシ、バッタ、アザミウマ、ダニ、アブラムシ、ウリハムシなど
今回の「天敵害虫」は、益虫に属します。
では、天敵昆虫って何者なんでしょう?
「天敵昆虫」、聴き慣れない言葉ですよね。
私も、農業を始めてから耳にするようになりました。
はっきりとした定義は見つけられませんでしたが、簡単に言うと
「害虫を食べるなどして発生を抑える昆虫」
と言われています。
中でも天敵昆虫として、最も名前が挙がってくるのが
ナミテントウというテントウムシの一種。
家庭菜園やガーデニングをされている方ならご存知かと思いますが、
テントウムシはアブラムシを食べてくれる益虫の一種です。
やはり、近年は無農薬、オーガニックをいった有機栽培が広まっています。
その流れで、天敵昆虫に害虫駆除を任せてしまい、農薬に頼らない農業を目指す方法として注目を集めています。
3 天敵昆虫は、どうやって使うの?
では、どうやって天敵昆虫を使うものなのでしょうか。
先ほどのナミテントウを例に見てみましょう。
・購入または採取
テントウムシを買うの!?と思われるかもしれません。
しかし、楽◯やアマ◯ンで普通に販売されています。
ほとんどが、幼虫の状態で販売されています。
気になる価格は、5,000円前後/50頭です。
初期投資としては高いかもしれませんが、その点はご心配なく!
・届いたら即日中に散布
農薬と大きく違う店として、テントウムシは生き物なので保管ができません。
なので、幼虫が元気なうちに畑に放つ必要があります。
テントウムシは、幼虫の時からたくさんのアブラムシを食べてくれます。
※注意点として、アブラムシのコロニーに対して過剰な散布はしないこと。
※目安として、12〜3頭/1㎡(1コロニー5~6匹)が基準となります。
・効果を観察
幼虫を放つとすぐに捕食を開始します。
アブラムシの発生具合にもよりますが、必要に応じて追加で放飼しましょう。
※ナミテントウの幼虫は歩いて移動しますので、移動の妨げになる物は極力避けてあげましょう
あとは、幼虫から成虫になって、約2ヶ月周期で世代を更新していきます。
ナミテントウにとっては、20℃〜30℃が適温なので、空気の循環は気をつけたほうがいいでしょう。ハウス栽培の場合は特に!
4: 天敵昆虫の利点
言うまでもありませんが、農薬のように人体への心配がありません。
また、一度放飼すると、勝手に世代更新をしてくれるので、しばらくは追加で放飼する必要がないことも利点として考えられます。
しかも、ナミテントウに関しては、越冬もするのでありがたいですね。
5: まとめ
私自身も農業に携わるようになってから、しみじみと感じるのは
「農業とは戦いである」
ということです。
なぜかというと、天災や獣害、病気など
生き物だからこそ受ける外的要因が非常に多いということです。
その外的要因を楽に取り除くとなると、農薬が筆頭に挙がってきますが
結局のところ、他の生き物が死ぬなら、人間にも悪影響があることを理解しないといけません。
そこで、始まった新たな農法として、
「天敵昆虫」が注目されるようになりました。
まだまだ研究段階の分野なので、今後の進歩が楽しみです。
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