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農業の悩み

農業は戦いの連続 ~獣害編~

農業は戦いの連続 ~獣害編~

夏野菜が真っ盛りの季節が到来しました!

筆者もトマト、茄子、とうもろこし、万願寺とうがらしと既に多くの夏野菜をいただいております。

さて、前回の投稿で私(生産管理部長T)は、農業における害虫について取り上げましたが、

農業に携わるとまだまだ虫の他にも憎っくき存在がウヨウヨ

ということで、今回は「獣」にスポットを当ててみましょう!

完全に筆者の独断で選んでいますので個人差があります※

 

エントリーNo,1 【イノシシ】

いきなり大本命が登場しました。

畑のブルドーザーことイノシシです。

僕たちASOBI農園の畑は鉄作が施されているので今の所被害はありませんが、近所の農家さんでは、芋類やキャベツ、白菜といった葉物野菜、桃やスイカなどの果物まで幅広く食い荒らされている場面に遭遇します。

特に山に木の実などの食料が不作の年は、人里への出没も増加傾向にあります。

では、対策はどうすればいいのか?

大きく分けると下記の3つが有効とされています。

①柵を立てる

ワイヤーメッシュ等を使用する「金属柵」は強度があり長持ちするので、設置作業は大変かもしれませんがとても有効です。

また、最近の主流は「電気柵」です。地域によっては補助金の対象となっていることもあるので、検討されている方は今すぐチェックしましょう!

②隠れ家をなくす

最近は、耕作放棄に伴う遊休地が増加しており、草木がそのままの状態で放置されている光景をよく見かけます。

農地の周りに藪や草が生い茂っている場所があるならなるべくきれいに保つことが大切です。畑の近くに隠れ家があるというのは動物にとっては喜ばしいことなのです。

③捕獲する

山間にお住いの方なら見かけたことがあるのでは?

イノシシを捕獲するためには大型の箱型をした檻を一般的に使用します。

個人では費用面や許可の問題もありますので、捕獲に関しては地域ぐるみの対策のイメージが強いです。

 

エントリーNo,2 【猿】

縦横無尽の大怪盗ことニホンザル。

ニホンザルもイノシシ同様に食べる作物は多岐にわたります。

何と言っても身体能力の高さでは、イノシシや鹿には負けません。

しかも、学習能力が高く、罠など少しでも畑に危険を察知するとうまく回避するか、近づくことすらしません。

では、対策はどうすればいいのか?

ひとことで言うと、天井も囲われた柵を作ることですが、簡単に作れるものではありません。なので、筆者もニホンザルに関しては半ば諦めている部分があります笑

最近は、「アニマルピー」と呼ばれる、ライオンなどの尿の成分が含まれた薬剤が売っており、天敵の匂いでバリアを作ると言う商品も人気です。

 

エントリーNo,3 【鹿】

日本国内における獣害被害の半分以上は、実は「鹿」なんです!

農業被害の金額は、年間約60億円相当と言われ、被害面積も年間に50ヘクタール(東京ドーム10杯分)にもなります。

食性もイノシシ、猿同様に幅広く、この時期だととうもろこしは標的になりやすいです。

では、対策はどうすればいいのか?

鹿は跳躍力に優れており、1mほどの高さの柵では簡単に侵入されてしまいます。

同時に体重も重たいので、安易な柵だと簡単に押し倒されてしまいます。

①柵

1.52.0mの高さの柵を作ります。

②光や音で威嚇する

夜中ずっと懐中電灯片手に立っているわけには行かないので、動物が近づくと光るセンサーライトなんかもあります。

余談◇

お寺に行くとよく見かける「ししおどし」。漢字で書くと「鹿威し」と書きます。

元来から鹿よけの農具だったそうです。

 

エントリーNo,4 【カラス】

今、ASOBI農園でもっとも頭を悩ませている存在です。

色付いたばかりのミニトマトを見事に掻っ攫われます

日本国内の獣害被害でも3位に食い込む実力者なんです。

ご存知の通り、カラスは何でも食べてしまいますが、

対策はどうすればいいのでしょうか?

もっとも効果が期待できるのは、作物の周りにネットを隙間なく張ることと、針金など糸を張ることがいいかもしれません。

カラスの習性で、紐など細いものが体に触れることを非常に嫌がるそうです。

以上、農家を悩ませる動物の紹介でしたが、

獣害問題が騒がれるようになったのはごく最近のことです。

なぜなのか?

一番の原因とされるのが、猟師人口の減少と高齢化だそうです。

ひと昔前は、皮製品などの用途があったため一定数より増加することは無く、今のように動物が人里を闊歩することは少なかったと言います。

その分、山の手入れが行き届き、どんぐりなどの食料もあったそうです。

おそらく、今後超高齢社会に直面する日本において、

使われなくなった荒地が増え、地方の獣害問題はさらに深刻化することでしょう。

そんな現状に対して何ができるか。

僕たちASOBI農園は少しでも一助になりたいという思いから、これからも農業の価値、野菜の価値、地方の価値を上げる事業に取り組んでいきます!

 

ASOBI農園 生産管理部長T

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